大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1035号 決定

〔主文〕1 申立人らが、別紙目録(二)1記載の建物のうち八畳室と六畳室との境界線から西側の部分を取り毀し、同目録(一)記載の土地中右境界線の西側の部分に木造二階建居宅床面積一階33.71平方米(一〇坪二合)二階33.05平方米(一〇坪)を建築することを許可する。

2 申立人らは、相手方に対し、金二二万円の払をせよ。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人らは、相手方から、別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という。)を非堅固建物所有の目的で賃借中にして、同地上に同目録(二)1記載の建物(以下本件建物という。)のほか(二)2記載の建物を所有している。

2 申立人らは、申立人和子の夫善一郎亡きあと学生相手の間貸しをし、収入を図るべく、本件建物を主文掲記の如く増改築する計画を有するが、右増改築につき相手方の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。

(決定理由)

1 本件の資料によると、安田善一郎は、本件土地の前賃借人滝山三男から、昭和二六年七月頃本件建物を買い受けるとともに本件土地賃借権の譲渡を受け、右賃借権の譲渡につき賃貸人である相手方の承諾を受けたこと、安田善一郎は昭和四三年四月一八日死亡し、申立人らは相続により賃借人の地位を承継したこと、申立人らは、右相続により本件建物の所有権を取得したほか、申立人安田和子は本件土地上に別紙目記(二)2記載の建物を前所有者小材恵美から買い受けて所有していること、前借地人滝山三男は、相手方から昭和一八年頃本件土地を非堅固建物所有の目的で賃借したのであるが、存続期間を定めたかどうか判明しないこと、賃料は、昭和四四年五月一日から一カ月七九五二円に改められ、現在にいたつていることが認められる。

相手方は、安田善一郎が昭和三一年一月小材恵美に本件借地権の一部譲渡ないし本件土地の一部転貸をしたことを理由に、本申立後本件土地賃貸借契約を解除する旨の意思表示をなしたが、本件の資料によると、小材恵美が昭和三一年頃本件土地に別紙目録(二)2記載の建物を建築所有し、安田善一郎は、右建物の敷地として本件土地の一部の使用を同人に認めた事実は認められるが、当時、小材に本件土地の一部を使用させることについて、相手方の承諾を得たことが認められるので、右解除は理由がない。

本件の資料によれば、本件増改築は、土地の通常の利用上相当であり、本件土地賃貸借契約上増改築の制限に関する特約の存否は不明であるので、本件申立は、これを許可すべきである。

2 附随処分

本件増改築許可の裁判に伴い、当事者間の利益の衡平を図るため、申立人らに対し、相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。その額は、借地上の建物の全面的改築の場合と比較して、残存耐用年数の相違から低額になるのは当然にして、本件の場合、本件増改築が本件建物の一部について行なわれるばかりでなく、本件土地上には昭和三一年頃の建築にかかる別紙目録(二)2記載の建物があるので、これらの関係を考慮し、従来の裁判例に徴し、土地価格の約一%を相当とする。鑑定委員会は、本件土地の地価を3.3平方米当り二四万円と評価し、一方、申立人ら提出にかかる不動産鑑定士石川市太郎作成の鑑定書によれば、本件土地の更地価格は3.3平方当り二〇万円、建付地価格は3.3平方米当り一九万円と評価され、かなりの開きがあるが、前者の評価は、その根拠を示さないのにかかわらず、後者の評価は、取引例、税務関係の価格その他を参考としているので、後者の評価に従うこととし、財産上の給付は、本件土地の建付地価格の約一%に当る二二万円とする。

次に、賃料の改訂についてであるが、改訂賃料について、申立人らは3.3平方米当り月額八一円を希望し、相手方は3.3平方当り月額一〇〇円を希望しているが、本件の増改築は、借地権価格、底地価格に変更を来すものとは思われず、従つて、本件増改築が賃料改訂の要因とならないので、これを改訂する要を見ない。ただし、借地法一二条所定の如き客観的事情の変化があり、これを理由に改訂すべき場合は、当事者の協議によればよく、協議不調の場合には増額請求の裁判によつて変更するほかない。(小山俊彦)

目録

(一) 東京都杉並区松ノ木二丁目一二〇六番一

宅地 1454.87平方米(四四〇坪一合)の内370.24平方米(一一二坪)実測375.58平方米(一一三坪六合一勺)

(二) 右土地上にある

1 家屋番号四八六番二

木造瓦ルーフィング葺平家建居宅

床面積 97.09平方米(二九坪三合七勺)

現況 100.95平方米

2 家屋番号一二〇六番一二

木造瓦葺二階建居宅

床面積 一階 23.14平方米(七坪)

二階 16.52平方米(五坪)

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